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↑マイナスイオン噴出中(笑) 


by co729sof
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容疑者Xの献身

やっと読めました!東野圭吾さんの作品です!
新学期早々ならまだ図書館で誰かに貸し出されてないだろうと見込んで先週行ったら目論見通り( ̄─+ ̄)ニヤリ・・・笑

ネタバレ入ると思うので、未読でこれから読みたいと思ってる人は気をつけてください(--)

「容疑者Xの献身」というタイトルと真っ黒に赤い薔薇の表紙に、凄く衝撃!?を受けたのですが、読み始めるとすぐに、このタイトルの意味が分かりました。
話しの内容はつかみやすいです。石神は隣人の母子が起こした殺人をかばいます。数学教師の彼が考えるトリックは「盲点をつく」警察があやうく騙されてしまうモノです。しかし、友人であり石神の良きライバルの湯川はその謎を解いていきます。そしてその真相を知ったときの湯川の心境は読んでいて苦しくなってしまいました。

石神の、自分の愛する人を守ろうとする決意そして行動。
どうしてただの他人で、隣人の親子をここまでして守ろうとすることが出来るのか?
確かに赤の他人かもしれない。でも数学だけを愛してきた、そしてその自分の人生そのものである数学さえも研究し続ける場所を失ってしまった彼にとっては、その人生は無意味なものでしかなかった。生きている意味さえないと思った。
自殺をしても悲しむ人はいない。そう考え、自殺をしようとした彼にとって、突然引っ越してきて、彼の前に現れた、美しいその親子は石神に生きる意味を与えてくれた。
それは、彼にとって、自分の人生を捧げてもかまわないくらいの出来事だったんだと思います。

最後、石神は自分を犯人として自首をします。
そしてストーカーという汚辱の罪も自分にかぶせ愛する人を守ろうとする。
それほどまでに彼は母子に幸せになってほしかった。
私は読んでいて、とても複雑な気分でした。石神がここまでしているのだから、母子は捕まらないでほしい。でも、石神は確かに、とてつもなく大きな事件を犯した。それでも彼が全ての罪をかぶって刑務所の中で生きていくことは、私には苦しかったです。
結局、石神が母子のために犯した罪やトリックを知った女性(母)は最後、自分も自首をします。

私は東野さんの本は、まだ全部読んでいませんが、今まで読んできたのを考えても、共通する事があると思います。
それは罪を犯した人物は幸せにはなれないと言うこと。
たとえ警察から逃れても、それは全ての罪を背負い、苦しみの中、周りの目を気にしながら世の中を生きていかなければならない。たとえどんな理由があろうとも罪を犯したら、罰を受けなければならないのです。
母子は黙っていれば表向きは普通に生きて行けたかもしれない。けれど、自分たちが起こした事は死ぬまで心を蝕み、罪悪感を背負い続ける。
そんな見えない重圧が、そして石神の1人で罪を背負い込もうとする愛情の深さが、最後の女性を決断させたのだと思います。

石神の愛情の深さにとても感動しました。
儚く、悲しい物語でした。。。
by co729sof | 2006-04-23 23:43 | 音楽・映画・本・TV